Alienware OLED55インチモニター、AW5520QFは最強の有機ELゲーミングPCモニターなのか?

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Dellは2019年10月2日、Alienware 55インチOLEDゲーミングモニターとして「AW5520QF」を発売しました。かつてないビジュアル・無限のコントラスト比・4K・120Hz・有機EL(OLED)と謳うように、一見してこれでもかと言うスペックのモニタです。 OLEDを用いたPCモニターが今までなかったわけではないですが、ゲーミングモニターとしては、高リフレッシュレート対応のPC用モニターとしては確かに世界初かもしれません。

発売からしばらく経ち、海外でも上記のようにレビューが入り始めました。国内では某有名ブログでしか見当たりませんが。

発表されて大いに気になっていたモニターではあるのですが、あまり現実的ではないという事もあり(購入できるか否かというよりは、OLED-TVと比べて優位性はどこか?がわからなかった。もちろん価格も鼻血が出るほどラグジュアリー)

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Alienware OLED55インチモニター、AW5520QFの仕様

パネルサイズ 55インチ(54.6 int) 解像度 4K ( 3840 x 2160)
パネルタイプ OLED パネル表面 ハーフグレア?
色域 DCI-P3 98.5% 最大表示色 10.7億色
輝度 400 cd/㎡ (=400nit) コントラスト比 130000:1
HDR対応 輝度認証なし 応答速度 0.5 ms
リフレッシュレート 120Hz(DP),  60Hz(HDMI) ディスプレイ同期 FreeSync (HDR併用可)
スピーカー ステレオスピーカ (14W) USBポート USB3.0 (x3)
VESA 100mm * 100mm 付加機能 AlienFX照明
I/Oポート DisplayProt 1.4 (x1)、HDMI 2.0 (x3)
発売時期 2019年10月2日
値段 ¥350,900

 

 

主な仕様を抜き出しましたが、OLEDパネル4K120Hz(DP接続)応答速度0.5msOLEDならではの高コントラスト、そしていやでも目に付く¥350,900という圧倒的価格。

また、マイナスという意味で目立つのが、HDR表示が可能であるものの、Display HDRの輝度認証がないという点です。

55インチのOLEDパネル、HDR輝度認証なし

有機ELモニタ。上記のように仕様としてはあれこれありますが、つまるところ、このモニタの価値はOLEDであるという一点です。

この55インチサイズのOLEDパネルは、有機ELテレビでもよく見かける LGの第8世代か第8.5世代以降のOLEDパネルでしょうか。記憶が朧気ですが、2017年か2018年ごろからLGがこのインチ数のOLEDパネルに増産をかけ、有機ELテレビも55インチ数のものが増えてきた印象があります。

なお、HDR輝度認証はないようです。

最大輝度が400nitという事ですが、平均的な輝度は300nitを下回るものであると海外レビューサイトでは述べられています。これはパネルへの焼き付き対策であるとDellが答えており、実際に海外レビューサイトでは、パネルにwindows10のタスクバーを10時間連続表示したところ、タスクバーにバーンインと思われる表示の乱れが発生したと報告しています。ただし、パネルの修正機能でバーンインらしきものは消え去ったようですが。

なんにしてもHDR400相当の最大輝度は出ていますし、コントラスト比と合わせて考えれば、十分な画質を提供してくれるハズです。

ただ¥350,000-以上だと考えれば、一時的にせよ残像様の焼き付きが入れば冷静でいられそうにありませんね。

色域と最大表示色・応答速度は?

色域

公式ではDCI-P3において98.5%だと記載されています。これは映像・ゲーム用途においては問題がないレベルですが、Adobe RGBにおいては87.9%だと海外レビューサイトでは確認をしているようです。

これははっきりいってプロクリエイター向けではありません。(なにしろ素人でも買えるモニターでもadobe RGB99%というのは珍しくない)

ありませんが、これはゲーミング・映像用途であるため、そこを突くのはヤボというものではあります。そもそも、web媒体のイラストや動画向けの制作であれば十分です

「最大」表示色が10.7億色とは

他のモニタの事情や、DisplayPort1.4、HDMI2.0の帯域を考え、素直に受け取れば以下の可能性があるのではないかと思われます。

  • DisplayPort1.4(120Hz)接続で、RGB4:2:2もしくはRGB4:2:0のクロマサブンプリング
  • DisplayPort1.4(98Hz以下)の接続で、RGB4:4:4の色表示(10.7億色)

これは、27インチ・4K・HDR・120Hz以上・IPSという「ASUS ROG SWIFT PG27UQ」や、「Acer Predtor X27」にも見られた色表示の問題です。細かいことは省くと、要するにPCとモニタを接続するケーブルの帯域性能が足らないという事になりますが、AW5520QFにおける実際のところは不明です。

大抵のモニタでは問題になりませんが、しかしAW5520QFは驚異の¥350,000以上のお値段です。 ASUS ROG SWIFT PG27UQ」とAcer Predtor X27であっても、¥300,000は超えていません。

もちろんIPSパネルか有機ELパネルかという違いがありますが、絶対的な値段の数字はかなり重要な比較要素です。

応答速度は0.5ms。だが入力遅延はどうか?

有機ELパネルらしい素晴らしい数字。海外レビュー、あるいはyoutubeであがっているレビュー動画を確認しても、これまでの液晶パネルを大きく引き離すクリアさのようです。

応答速度を確認できる、いわゆるUFOテストの動画を見ても、残像らしき残像はほぼ確認できません。液晶パネルで同等の表示を出そうとすると、オーバードライブをかけなければならず、かつオーバーシュート・アンダーシュートで見た目は残念な形になることを考えれば、やはり有機ELパネルにおける応答速度は素晴らしい。

ただ、どうも入力遅延はそれなりに大きそうに思われます。レビュー動画で見かけたものだと、ゲーム上でパッドからの入力から、実際に描画されるまでやや遅延があるのではないかと思われるフシがあります。格闘ゲームやFPSだとやや苦しいかもしれませんね。

Alienware OLED55 AW5520QFは何と比較すべきなのか?

Alienware OLED55 AW550QFは素晴らしい性能のモニタです。(入力遅延を除いて)

PCモニターというくくりで見れば、比肩するスペックを持ったモニターは、2019年Q3時点では見当たりません。業界初のゲーミング用有機ELパネルのモニターという点は、かなり食指が動く謳い文句です。

しかし¥350,000。

パネル、そして価格がここまでくると、比較すべきなのは、PCモニターではなく有機ELテレビだと考えます。同クラスの価格で見ると、SonyのブラビアA8Fや、東芝のレグザX830などが購入対象として視野に入ってきます。昔はテレビ用のパネルをPCつないでもイマイチな表示でしたが、現行型のテレビはさほど問題にはなりません。

恐らくパネルが同じクラスのものであると考えれば、果たしてテレビを買ったほうが幸せになれるのではないか?とは思わざるを得ません。

Alienware OLED55 AW5520QFは買いなのか?

値段を全く考慮にいれなければ、満足感は非常に高いと思われます。

が、値段を考えれば……。

PCモニターとして見れば、非常にDellらしいという印象です。先行気味に発売されるモニターというべきか。

なんにせよ、浪漫先行なモニターだとは思います。

値段が値段だけに、買わない理由を並べたようになりましたが、¥350,000はとてもお高い…。テレビなどと比べても、積極的に購入する理由はあまりないように思えます。

個人的には、PCモニターとしてはDisplayport2.0・HDMI2.1世代に入ってからが本命です。

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