AMDが利用するTSCMの5nmプロセスは既に歩留まり50%以上
AMD-CPU Ryzenの概要 *メインストリームCPU、デスクトップ年 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021? |
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アーキテクチャ | Zen | Zen + | Zen 2 | Zen3 | Zen 4 |
コードネーム | Summit Ridge | Pinnacle Ridge | Matisse | Vermeer | ? |
ryzen | ryzen 1xxx | ryzen 2xxx | ryzen 3xxx | ryzen 4xxx | ryzen 5xxx? |
プロセス | 14nm | 12nm | 7nm | 7nm+ | 5nm (TSCM) |
グレード/core/Thread | 【7】8C/16T 【5】6C/12T 【3】4C/4T | 【7】8C/16T 【5】6C/12T 【3】4C/4T | 【9】16C/32T 【9】12C/24T 【7】8C/16T 【5】6C/12T | ? / ? | ? / ? |
対応マザーボード | 300, 400 | 300, 400, 500 | 300, 400, 500 | ? | ? |
ソケット | AM4 | AM4 | AM4 | AM4 ? | ? |
補足 | Bulldozerアーキからの転換 | 以降チップレット構成 | EUVプロセス |
wccftechによると、既にTSCMの5nmプロセスは、歩留まりが7nm以上になり50%に達すると述べています。AMDはこのプロセスを利用し、2021年にはZen4を5nmで出荷できるとのこと。
この情報では、既にTSMCの5nmプロセスは、Apple、HiSilicon、AMDの3社が予定されており、そのなかにnvidiaは含まれていません。これはTuring-GPUの頃もそうですが、nvidiaは十分にプロセスの熟成を待つようで、現在はAMD Navi-GPUの7nmに比べて、Turing-GPUが12nmのプロセスを使用している事からなんとなく理解ができるように思います。
ともあれTSCMの5nmプロセスが既に歩留まり50%以上であり現行の7nmを超えるとの話は、EUVに移行できたのが大いに影響があるのでしょう。ロジック密度を1.8倍、動作速度を15%、または消費電力を30%削減できるとの説明もあるので、Ryzen-CPUのブーストクロックが5GHz程度まで伸びるかもしれません。
MCM (multi-chip ModuleI)によるチップレット構造もさらに多重化するでしょうから、AMDはさらにメニーコア路線でintelに差をつけるつもりなのでしょう。intel自体は当面メインストリームでは8core/16threadが中心になるという話も見かけましたし。
intelは10nmで対抗できるのか
intel-CPU 予定概要 *メインストリームCPU、デスクトップ年 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021? |
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アーキテクチャ | (Sky Lake系) | (Sky Lake系) | - | (Sky Lake系 ?) | Willow Cove |
コードネーム | Coffee Lake | Coffee Lake Refresh | - | Comet Lake | Rocket Lake |
Core i | Core i 8xxx | Core i 9xxx | - | Core i 10xxx | ? |
プロセス | 14nm++ | 14nm++ | - | 14nm+++ ? | 7mm ? |
グレード/core/Thread | 【7】6C/12T 【5】6C/6T 【3】4C/4T | 【9】8C/16T 【7】8C/8T 【5】6C/6T 【3】4C/4T | - | 【9】10C/20T 【7】8C/16T 【5】6C/12T 【3】2C/4T | ? / ? |
gpu | UHD 610/630 | UHD 630 | - | Gen 12 | ? |
対応マザーボード | 3xx | 3xx | - | 4xx ? | ? |
ソケット | LGA1151 | LGA1151 | - | LGA1200 ? | ? |
補足 | sunny coveのIceLakeがラップトップ向けに出たのみ | LGA1151対応CPUクーラーが引き続き使用できそう |
簡易な表だとぼろぼろに見えてしまいますね……。
intelは2021年に7nmプロセスの達成を目指しているという事や、その7nmがTSMCの5nmに相当するという事は言われていますが、印象はやはりインパクトに欠けます。2019年は上のテーブルには記載してありませんが、SunnyCoveアーキテクチャのIceLakeが出荷されましたが、結局クロック数が上がらなかったのかラップトップでの展開に留まっている状態もあり、2016年に出荷される予定だった10nmプロセスの開発での失敗が長く続いているなと思ってしまいます。
結果として14nmのIPを長期展開せざるを得ず、IceLake-CPUによる展開で供給不足に歯止めをかける予定だったものが結果として謝罪する羽目になっている現状は、なかなか物悲しいものがありますね。
買うべきはintelかAMDか
まあintelが本格的に暗黒期を迎えるのか、AMDが覇権を握るのか、それ自体はどちらでも構わないのですが、2020年から2021年にどちらが実効速度を出せるのかで購入を決める、といった程度の話です。
メニーコア化は進むでしょうが、intel自体は8core/16thread路線で当面進むのであれば、特殊な用途はとにかくとして、日常あるいはエンコード、ゲーミングといったシーンにおいて、intelとAMDのどちらのCPUが良いのかというのは難しい話です。結局はソフトウェアなりゲームなりがメニーコアに対応するかどうかでしょうしね。
軽くWebをする動画を見る程度なら安いもの、ゲーム単体ならintel、エンコードや配信作業などの複数タスクに掛かるならばAMDという認識でしたが、2021年ころまではAMDで安牌かなという気もします。