2020年3月25日にiPad Proが発売。前モデルとスペックは大差なし。
2020年3月25日に二年ぶりとなるiPad Proのモデル更新。同年4月21日にiPad専用の拡張キーボードとしてMagic Keyboardが発売され、2020年春モデルのiPadとしては形になったかなと思われます。
現行のiPadは概ねスペック・サイズ・各辺のベゼル幅ごとに分かれますが、私が検討するiPad Proの12.9インチモデルを中心に話を進めます。
iPad Pro 12.9インチモデル | ||||||||
発売日 | 世代 | 型番 | パネル | サイズmm | 解像度 | ppi | プロセッサ | メモリ |
2018/11/7 | 3 | A1876 | 12.9インチ | 280.6*214.9 | 2732×2048 | 264ppi | A12X Bionic | 4G |
2020/3/25 | 4 | A2229 | 12.9インチ | 280.6*214.9 | 2732×2048 | 264ppi | A12Z Bionic | 6G |
- 搭載メモリが4Gから6Gに増えた
- 顔認証センサー(Face ID)が搭載され、ログインが便利になった
- LiDARスキャナが搭載され、AR表現の拡張が認められる
カメラ部分以外の外装の変更がないため、国内・海外含めて、仕様に大差はないとの評価が全てです。プロセッサもベンチスコア上ではほぼ変化がないものの、メモリ増加により、多量に待機させるアプリの動作のカクつきが減り、クリエイト用途では意味があるかもしれません。買い替えるほどではないと思いますが。
*構造に変更はない。第3世代ではGPU8コアのうち1つロックされていたが、第4世代ではフルのGPU8コアが開放されている。歩留まりが向上したのだと思われる。
*念の為に記載しておくと、CPUという意味合いではA12Z Bionicは2.5GhzのVortex (big core)×2つと1.5GhzのTempest (small core)×4つの、いわゆるbig.LITTLEになるヘテロジニアス。
2020年春世代の第4世代iPad Proと、次期第5世代iPad Pro
A12XからA12Zへ。さらに次期iPad Pro搭載とされるA14X
現在、iPadのプロセッサはAppleが独自に設計したArmベースのSoC(*System-on-a-chip)であり、TSMCの7nm FinFETプロセスとなる。プロセス自体は最先端であり、Apple曰く、現行の大半のノートPCよりも速いとか何とか。曖昧な表現に留まっているところがマイナーチェンジ感を加速させている一因ですかね。
iPadではA13Xはスキップされると言われていますが、A14プロセッサの現在の噂はiphoneという枠ではあるけれども以下の通り。
実際にiPadに搭載される場合にはA14X BionicというXナンバーが追記される形になるでしょうが、クロック数が3Ghzを超える点が目を引きます。
実際のスコアというかベンチなりの数字はとにかくとしても、A12からA14に移行するにあたり、場合によっては五割の性能向上と見る旨もあるようで、このあたりが購入を躊躇わせる要因ではあります。
ただ、PCのようにパーツ単位で選定できるものとは違い、タブレットはパーツを選べるわけではなく用途によって購入するしかないため(Apple製品だからというわけではなく)、一般的な見方をするのならば、現在2018年モデルのiPadを持っているか否かで判断するほうが賢いかもしれません。
次期iPadではminiLEDディスプレイになる?
パネルの表現性能
個人的に最も気になるのはパネル性能です。Appleが呼称する角丸なLiquid Retinaディスプレイの特徴は下記の通り。
- パネル:IPS
- リフレッシュレート:120Hz(ProMotion)
- 解像度:2732×2048ピクセル(12.9インチ)
- 画素密度:264ppi
- 色域:DCI-P3
- 色深度:8bit/1677万色表示
- 輝度:600nit
- 耐指紋性撥油コーティング
- True Toneディスプレイ
ProMotionと呼ばれる画面のリフレッシュレート120Hz及びAppleペンの組み合わせはかなり評価されており、ペン先との追従性にも大きく寄与しているようです。(iPad Pro 10.5-inch ProMotion 60 vs 120Hz Latency Test with Apple Pencil)
少々引っかかるのが、色域DCI-P3のカバー率が公式に表記がなく(どうも100%は越えているようですが)、色深度が8bitである事です。VESAのDisplayHDR600に対応しているという訳でもないようですが、Dolby VisionとHDR10コンテンツには対応しているとiPad Pro公式の「TVとビデオ」には表記があります。
色深度が8bit/1677万色表示であり、8bit+FRCによる疑似10億7千万でもない。この時期のパネルとしてはある意味不思議なものではありませんし、HDR10コンテンツを表示したからといってバインディングが出るとまでは思いませんが、2018年モデルのiPadと変更がなく、面白みがありません。
miniLEDディスプレイとは何か
次期第5世代のiPad Proで噂される中で最も気になるのはこの点です。ただ誤解されがちというか、正直、モニター関係に興味がなければ分かりづらいだろうなというのは個人的に思うところです。
iPadで実現するminiLEDディスプレイは、ただのパネルのバックライトの一種であり、これminiLEDディスプレイでございと表記するパッケージングではないかなと思います。後述しますが、ローカル調光機能がある(はず)点でしょうか。
次期第5世代iPad Proでは、第3~4世代iPad proであった、Liquid Retinaディスプレイではなく、また違った名称が与えられる事になるかもしれません。Apple Pro Display XDRではないしょうが。
現行のタブレットを含むモニターは、W-LED(*white-Light Emitting Diode)と呼ばれる光源を持ち(パネル側面のみに光源であるLEDがあり導光が必要なエッジライト型か、パネル背面全面にLEDを配置するフルアレイ型のどちらか)が、RGBカラーフィルター層を通して人間の目に色味を届けていますが、miniLEDは分類としてはフルアレイ(*F-LED)になります。
つまりパネルの背面全体に、小さいなLED光源(数百μmオーダー)を敷き詰めるわけですが、ここにローカル調光という要素が加わるはずです。(エリア駆動、ローカルディミング等とも言う)これはパネルの光源であるLEDを、部分的に(分割して)バックライトを消灯する事を指し、実際にハイエンドモニター・TVではすでに実装されている技術です。
これまでのパネルはIPS・VA・TNという種類の液晶パネルに代表されますが、バックライトの光漏れがどうしても発生してしまうため、コントラスト比や、黒の表現に悪影響(純粋な黒が表現できない)が出ていたのですが、ローカル調光を行うminiLEDバックライトパネルであるのならば、純度の高い黒が表現できるはずです。
純度の高い黒とはつまり、特にTN・IPSパネルのような黒浮きと呼ばれる、うっすら白く霞がかかったようにバックライトの発光が漏れ出る現象を発生させない、というよりもバックライトが光っていないので真っ黒という訳です。
昨今のモニターでは、いわゆる液晶モニタと呼ばれるLCD(*liquid crystal display)から、有機ELと呼ばれるOLED(*Organic Light Emitting Diode)が増加しつつあり、PCモニター、TVのハイエンドクラスでは、かなりの割合を占めてます。
さらに次世代のパネルとして呼び声高いのが、sonyの、以前はクレディス(*CLEDIS)とも呼ばれていたCrystal LED、サムスンのthe wallですでにお目見え済みですが、要するに、miniLEDよりも更に直径の小さなLEDを使い、白だけではなくRGBカラーのLED素子を配置するという構造です。
2020年の現状では極端に価格が高く(大きさの問題もあるがクレディスは億単位だった)、sonyにしろサムスンにしろ個人ユースではもう少しかかりそうです。
余談が過ぎましたが、次期第5世代iPadであるのならば、いきなりmicroLEDパネルになる可能性は普及時期的に見てもなく、miniLEDバックライトのパネルが先ではないかというのが各種ブログでの予想と思われます。
ただし、実際にminiLEDバックライトパネルになったとしても、その時のiPadがどのレベルのHDR表現にまで対応するのか、で価値が決まると考えます。
iPadにmicroLEDが搭載される日はいつ来るのか
AppleがmicroLEDに前向きである事はまず間違いないと思われます。
engadget記事で一通りまとめられていますが、Apple watchやiPhone等、比較してパネルが小さいものから導入されるはずです。
microLEDだとパネル部分を薄くできる・省電力化などの明確なメリットがあるため、搭載される可能性は高いかと思われます。思われますが、パネルが比較的大きいiPadやMacbook類は、まだまだ数年先になるのではないかと。
次期第5世代iPad Proの発売時期は?
当初は2020年秋頃との予想が過半でしたが、昨今の新型コロナウィルスの影響により多くのサプライチェーンに問題が発生しているため、2021年春にまで伸びるのではないかという見方が多くなってきました。
Apple製品の発表はWWDCにて行われると思われますが、年2回程度の更新があり(予測サイトもある)、このサイクルで言うと春秋にあたります。とはいえ前述したように延期される可能性があるため、予断を許さない状況になってきました。
2020年春第4世代を購入する決断は
仕様や製品サイクルの観点から今までは述べてきましたが、個人的にはこの手のガジェットは買いたい時に買うべきだと考えています。
が、あえて言うならば、2020年春第4世代iPad Proを迷うなら、買うべきではないと思います。私自身のApple製品の購入履歴は、macbook proを2台、iphone1台、初代iPadを1台といったものですが、一番必要がなかったのはiPadでした。
今私がiPad proを欲しい理由は、Appleペンを使いたい・電子書籍リーダーが欲しいが大きく占めているのですが、タブレットは明確に使用目的を示せなければ持て余す可能性が高いと思われます。
2020年6月のWWDCはオンラインになるようですが、ここでiPad Proの次世代機がアナウンスされる事は恐らくないでしょう。延期される程度の話はあるかもしれませんが。
とはいえ購入するのならば最悪2020年秋に新型の発表があるかもしれない、なんなら2020年春第4世代モデルをさっさと下取りに出して乗り換える、くらいの気概があったほうが良いかもしれません。
まあ、私が想定するモデルだと、iPad Pro 128G/wi-fiモデル・appleペン・Smart Folioeの3セットで、お値段16万円ほどです。ここまで行くと、macbookでも良いのではないか?と思ってしまいますし、appleペンの使用や電子書籍以外の使用となれば、圧倒的にmacbookの使い勝手が良いです。なんならsurfaceという選択肢もありますし。
そのあたりを考慮して決めるべきものですね。
*追記20200502;iPad pro 256GBを結局買いました。気が向けばレビューします。