https://www.download.p4c.philips.com/files/5/558m1ry_00/558m1ry_00_pss_engza.pdf
それなりにヒットしている気がする、PhilipsのHDR1000対応モニタ、436M6VBPABの後継…にあたるのでしょうか。仕様としてはグレードアップされているように見えるモニタです。記事としては55インチ(558M1RY)を注目していますが、製品シリーズとしては他にも31.5インチ(328M1R)・27インチ(278M1R)があるようです。もっとも、パネルのインチ以外の仕様も、HDR対応のレベル違いやリフレッシュレート等に違いがあるようですが。
基本的にはPhilipsのモニタは、どちらかというと購入しやすい価格帯のものが多く、購入検討しやすいため、チェックしておきます。
558M1RYの諸元スペック
パネルサイズ | 55インチ(16:9) | 解像度 | 4K(3840*2160) |
パネルタイプ | VA | パネル表面 | – |
ピクセルピッチ | 0.315 x 0.315 mm (80ppi) | 応答速度 | 4ms(GtoG) |
色域 | sRGB:125%, DCI-P3:95%, NTSC:102% | 表示色 | 10,7億色(10bit? 8bit+FRC?) |
輝度 | 標準:750nit | 最大輝度 | 1200nit |
コントラスト比 | 4000:1 | エリア駆動 | エッジ型、直下型ではない |
HDR対応 | DisplayHDR1000認証 | サブピクセル配置 | ? |
リフレッシュレート | HDMI:60Hz, DP:120Hz | ディスプレイ同期 | adaptive-sync |
スピーカー | 40W(RMS), 2.1ch, Bowers&Wilkins | USBポート | USB3.2*4 |
VESA | 200*200mm | イルミネーション | Ambiglow |
入力ポート | HDMI2.0*3, DisplayPort1.4*1 | ||
その他 | 電圧100-240VAC 50/60Hz, |
パネル性能を検討する
過去似たような仕様の気になるモニターとして、高額なモニター製品を取り上げてきましたが、下記について言及した事はありませんでした。今回取り上げたのは、Philipsが記載する仕様がふわふわとしすぎて、上記を踏まえてチェックすると下記のような疑問が湧いてきたからです。
- パネルはVAとあるが、グレアなのかノングレアなのか?
- サブピクセル配置はRGBか?BGRか?(436M6VBPABはBGR配置だったハズ)
- 表示色の10.7億は10bitなのか?8bit+FRCなのか?
- HDMI2.0対応となっているが、HDMI2.0aか?HDMI2.0bか?
- ピクセルピッチが広くないか?
特に入力ポートとピクセル関係が気になるので、とりあえず検証していきます。
4K解像度と120Hzリフレッシュレート
少々不明なのが、入力ポートであるHDMIとDisplayPort(*DP)が、それぞれHDMI2.0およびDP1.4であるという点です。
2020年6月現在、モニターを購入する時期としては明確に欲しい機能がない限り、かなり微妙な時期です。(今は時期が悪いおじさん)
理由は言わずもがな、次世代コンシューマ機であるPlayStation5およびxbox SSが半年後に迫っているという点。要するにHDMI2.1規格が普及する目前であろうという状況である事。なんなら2019年策定のDP2.0もありますが。
次世代コンシューマ機により出力される画像が、4K・120Hzをターゲットとして変更され、およおそ30Gbpsから40Gbpsが必要な帯域幅になるわけですが、これらがHDMI2.1=48Gbpsの伝送帯域による(伝送速度は42.6Gbps)ロスのないネイティブな画像を実現するわけです。
ですが、HDMI2.0(帯域18Gbps)、DP1.4(帯域25.92Gbps)では、上記の4K・120Hzに必要な、加えてHDRも乗せようと思えばさらに帯域幅が必要になり、どうあがいてもネイティブかつ完全な10bit画像(あるいは映像)は、HDMI2.0およびDP1.4仕様の558M1RYでは無理があり、DP1.4対応のDSCは元より、色圧縮などが実施されているであろうと思われます。パネル品質をさておけば、実際の映像において破綻はほぼ確認できないレベルでしょうが。
重箱の角を突くような話ではありますが、HDR1000対応のモニターとして話題になった436M6VBPABが、画質等の観点であれこれと言われていたように(値段なりという事ですが)、ある程度チェックしておくべきだと思います。
PC用モニターではありますが、基本的なパネルの素性はテレビと大差なかろうと思われ、かつPCゲームでの運用ならとにかく、現行のコンシューマ機でだけ使うと割り切るならとにかく、次世代機のコンシューマ機を視野に含めるなら少し考えたほうが良いだろうと思います。
一番良いのはパネルの素性がはっきりと確認できれば良いのですが…。
サブピクセルとピッチ
他メーカーの同一インチサイズの55インチパネルや、436M6VBPABの件を考えると、サブピクセル配置が「BGR」である可能性は高いと考えています。
また、BGRサブピクセル配置である前提で、さらにドットピッチが80ppiであり、55インチである事を考慮すると、これはテキスト・Webを閲覧する目的では好適とは言えないでしょう。なにしろ55インチはPCデスクにおいて使用するには巨大すぎます。
ピクセルピッチに関しては0.315mmと記載されており、55インチというサイズをさておくと、これはやや広めとなるでしょうか。0.2xxmm台のモニターもそれほど珍しくないため、上記を合わせて考えると、やはりテレビ的な使い方を想定したほうが良さそうです。
558M1RYは”買い”なのか? それとも328M1Rか?
328M1Rはパネルサイズが31.5インチのモデルとなります。ざっと見た限り違いは当然ながらパネルサイズの違い、そしてHDR600であるという点。(さらに下位の278M1Rもありますがこれは検討しません)
筐体を含めた大きさで考えれば一択なのですが、328M1Rなのですが、HDR1000を外すのは惜しい気がします。なにより31.5インチなら別のモニターも選択肢に入ってくるため、ますます難しくなってくるところです。
結局、現時点で即決購入というほどではありませんが、前述したように次世代コンシューマ機での運用を考えない、今まさにHDR1000を55インチで使いたい、という事であればアリかもしれません。
ただし価格帯は約1,399ユーロ(約17万円)であるため、それをさらに差し引く必要がありますね。