AMDは現地5日のFinancial Analyst Dayにて、RDNA2アーキテクチャであるNavi 2x「Radeon RX」シリーズでハードウェアレベルでのレイトレーシング(Ray Tracing)、そして可変レートシェーディング(Variable Rate Shading)に対応すると明言しました。
さらに、RDNA3およびNavi 3xについての展望、AMDがここ数年でのZen-CPU関連の躍進となったIFF(*Infinity Fabric)の将来像についてなどに触れています。
Financial Analyst Dayとは投資家向けのカンファレンスであるため、詳細な技術的が主ではありませんが、ある程度(種々情報が噂されていたとはいえ)のロードマップが提示されました。
AMD-GPU
Navi 2x-GPUであるRadeon RXファミリー
以前も取り上げましたが、今回のカンファレンスで発表された内容は下記の通りです。
- Navi 1x-GPUよりも、Navi 2x-GPUは50%もワットパフォーマンスが向上する。
- ハードウェアレイトレーシング、可変レートシェーディングに対応する。
この2点がNavi2-GPUの焦点となるようです。今まで噂されていた話でいえば、RX5800XT、RX5900XT、 RX5950、RX5950XTなどのRX58xx~59xx番台になりそうなGPUカードなどが相当したかと思います。
AMDのGPUでは、電力消費量を設定しなおせばワットパフォーマンスが向上すると言う話はよく見かけますが、AMD自身もそのあたりは承知の話で、継続的な改良はその表れでしょう。現行のNavi 1x-GPUの製造プロセスである、TSMCのArF液浸リソグラフィである7nm(N7)から、 EUV(極端紫外線)リソグラフィである7nm+(N7+)に移行する事でのパフォーマンス向上も大きいかと思われます。
また、画像にあるように、2020年後半までには、RDNA2ベースのRadeonシリーズ発売が期待でき、Wccftechなどでも述べられているように、下記が要点であると思われます。
- 7nmの最適化(*N7からN7+)
- エンスー向けのGPUカード
- ハードウェアレベルでのレイトレーシング(*および可変レートシェーディング)
- GDDR6メモリとHBM2メモリ搭載、あるいは混載
- ワットパフォーマンスが向上
要するに先にリストした点は、この点の補強となるわけですが、発売時期が2020年後半となっているため、期待しながら待つしかないですね。
DC向けのGCNは、「CDNA」に切り替わる
サーバー向けのGPUは、RDNAと違いGCNが続投されていたが、CDNA(* Compute DNA)に切り替わり、HPCやAI方面に特化していくとの事。
第一世代のCDANは、第2世代のInfinity Fabricであるinfnityアーキテクチャ(*infinity Architecture)が用いられ、CDNA2でも同様に第3世代のinfnityアーキテクチャにより構成される流れとなるようです。
サーバー向けの話ですので、さほど深堀するつもりもありませんが、チップレットであるZen-CPUを支えていたinfinity Facricが更新され、infinityアーキテクチャになるという話は興味深いものがあります。今後の情報公開を待ちたいところです。
AMD-CPU
AMD-CPUに関しては、EPYC Milan-CPUと、Ryzen 4xxx-CPUが2020年に発売される事が明言されました。基本的な情報は噂されている通りであるため、上記記事を参考にして頂きたいのですが、大まかにはチップレット構成を更に推し進める方向です。既定路線とも言えますが。
Zen3-CPUでは、当然ながらIPC向上が謳われていますが、面白そうなのは第2世代のInfinity Fabricであるinfnityアーキテクチャ(*infinity Architecture)です。
PCIeのGen3から4に並んで、AMDのinfinityアーキテクチャが並んでいる図ですが、まあ素直に眺めるとPCIe5.0に対応するのだろうなと。PCIeは1レーンあたり倍々で拡張されていますが、PCIe4.0からPCIe5.0も同様であり、上の図を真に受けるわけではありませんが、納得できるようにも思えます。
また、intelで言う2.5DのEMIB(*Embedded Multi-die Interconnect Bridge)や3DのFoverosであるパッケージ技術に対して、AMDが「X3D」を提示した点も興味深いところです。
現時点ではどの段階の世代で実装されるかは分かりません。AMDはintelに対してこの手のパッケージでは未だに追い付いていないため、当面噂されているZen4-CPU以降なのかもしれません。
intelは、10nm世代の製造プロセスについて競合ファウンダリに遅れている事を認めていますが、7nmから5nm世代で追いつきリーダーシップを取り戻す事を目指しており、製造プロセスとパッケージ技術という違いはあれど、AMDのこのX3Dパッケージがこの辺りまでに実装されれば、話は面白くなってくるでしょう。